遺産分割協議書とは?

遺産分割の方法
【現物分割】
不動産・現金・預金・株式などの現物をそのまま分割する方法です。
【代償分割】
遺産を相続した者が、その他の相続人に対し
現金(代償)を支払う方法です。
【換価分割】
遺産を売却し、得られた現金を分割する方法です。
【共有分割】
相続人がその相続割合に応じて共有する方法です。
相続回復請求権
【意義】
表見相続人が真正相続人の相続権を侵害している場合に、その回復を請求する権利をいいます。これは相続財産の回復ではなく、相続人たる地位の回復を意味します。個別的、包括的、どちらでも行使することができます。
【回復請求の相手方】
表見相続人から相続財産を取得した第三者に対しては、相続回復請求権ではなく所有権をもって対抗することができます。
【回復請求できる者】
相続分の譲受人は回復請求権を行使することができますが、特定承継人(個々の相続財産を譲り受けた者)は行使することはできません。(つまり、相続人としての地位を引き継いでいるかどうか)
【行使】
行使の方法は、裁判上・裁判外どちらでもOKです。
【消滅時効】
消滅時効は、相続権の侵害を知った時から5年、または、相続開始の時から20年です。
被相続人が遺言書を残すことなく死亡した場合において、相続財産を、法定相続によらずに相続人全員で分割方法を決めることを遺産分割協議といいます。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、仮に相続人の一人でも参加せずに遺産分割協議がなされた場合、その遺産分割協議は無効となります。
また、相続人の中に、行方不明者や未成年者、成年被後見人などがいる場合、不在者財産管理人、親権者、成年後見人などが本人に代わって協議に参加することになります。
相続放棄をした者がいる場合には、その者は最初から相続人ではないものとはみなされますので、協議に参加することはできません。
遺産分割協議がまとまらないような場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
相続開始後に認知によって相続人となった者(死後認知、遺言認知)がいた場合、既に遺産分割協議がなされている場合、価格による支払い請求権を有するのみですが、後順位の相続人(直系尊属、兄弟姉妹)が被相続人の配偶者と共同相続し、遺産分割を行った場合は、相続回復請求権により全面的に遺産の回復をすることができます。
遺産分割協議について
相続人は、いつでも遺産の分割を請求することができます。また、被相続人が遺言で分割方法を指定することもできます。(遺産分割方法の指定)
この場合、当然に当該遺産が当該相続人に承継されるので、遺産分割協議を要しません。
もっとも、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる遺産分割協議を行うことも可能です。(遺言執行者がいる場合は除く)
【遡及効】
遺産分割協議がなされると、相続開始時に遡って効力を生じます。もっとも賃料収入については、遺産分割前に発生し、確定的に分割取得した分については遡及しません。(金銭債権は当然に分割され、遺産分割の対象にならなため)
【遺産に建物がある場合】
生前、被相続人と同居していた相続人については、少なくとも遺産分割終了までは、明け渡しを請求することはできません。(被相続人の地位を承継した他の相続人と、同居していた相続人との間には使用貸借契約が成立しているため)
【解除】
遺産分割協議を合意解除することは可能ですが、債務不履行を理由に解除することはできません。
遺産分割前の相続財産について
個々の相続財産いおいて、相続人全員の共有となります。そのため、その持ち分の処分も当然有効となります。もっとも、被相続人の債権債務(可分のものに限る)については、各相続人に当然に分割されるため、遺産分割の対象となりません。
たとえば、生前、被相続人が有していた売買代金請求権や賃料請求権は、金銭債権なので、各相続人に当然分割され、各相続人は遺産分割協議を経ずとも、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることができます。(実務上は相続人かどうかの判断がつかないので、遺産分割協議書が必要になりますが…)
これに対し、現金は動産ですので、当然には分割されず、遺産分割前においては、全相続人の共有に属することになります。自己の相続分だからといって、勝手に処分することは許されません。

